どうしてこんなことがいえるだろう。
あなただって私の大切な人だから・・・
嫌われたくない。



「ねぇ・・・誰?その人」

部員が2人の話を不思議そうに見ている。
これが佳穂の良くないところだ。
絵梨を佳穂を無視して部員達へ連絡を伝え続ける。
部員はほとんど絵梨の話が右から入って左から抜けているだろう。
もしくは左からはいって右から抜ける。
先輩の恋人・・・後輩からしてみれば格好の餌食だ。

「それでは、次回の部活は反省会をするので、
 ・・・場所は追って連絡します。それでは、解散!」

ありがとうございましたー。
ちりちりばらばらに聞こえる声。
もう1回やり直したいところだが・・・無駄だろう。
相変わらず部員は無視され続けている副部長と
無視し続けている部長に釘付けだ。


「ねぇ!!何無視し続けてるの!!」

やっと絵梨が佳穂の方に振り向いたのはバス停で
帰りのバスを待っている時だった。

「ぁ、来たね。バス。」

振り向いてもただそれだけだった。

「私には言えないことなの?」

絵梨にそんなつもりは無かった。
佳穂はバスが来てもそこに立ったままだった。

「お客さーん、乗らないんですか?」

運転手のおじさんが呼びかける。
のります!!
絵梨はそう言って佳穂を背中から押して乗せた。

「だから、なんでもないんだってば。」
「・・・本当に?」

本当じゃない。
でも今はそういうしか絵梨にはできなかった。

ヴーン...ヴーン...
絵梨のポケットから携帯のバイブの音がした。
送り主は...隆司





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