体だけのカンケイ。
それもまたいいんじゃない?
柳田絵梨が目を開けると、目の前には自分の部屋とは違う白い天井があった。
此処はどこだろう...と昨日まで記憶をさかのぼる。
あぁ。隣に誰かが寝ているなんて気にもせずに一人つぶやく。
そう、ここは芦野隆司の家なんだ。
ベットから抜け出る・・・隣で寝ている人を起こさないように。
起こしたらどうなるか・・・そんなの絵梨にはわかりきっていた。
今日は試合があるのだ、隆司に付き合っている暇は無い。
ベットのまわりに脱ぎ捨てられた服。
とりあえず選りは下着を身に着け、水を一口飲む。
腰がきしむのは気のせいだろうか?
シャツをきて、スカートをはく。
そして自分の鞄からメモとペンを出して少し考える。
「・・・う〜ん。『とりあえず・・・」
「とりあえず?」
後ろからがばっと抱きつかれる。
「とりあえず、試合なので行きます。って書こうとしたの。」
「何・・・絵梨サン、もう帰っちゃうの?」
「もうって・・・昨日からいたでしょ・・・ちょっと!下着くらい着てよね。」
あぁ、わりぃわりぃ・・・なんてつぶやきながらも全然悪そうには見えない隆司。
2人にとって、そんなのいつもの会話だった。
絵梨は着々と準備をする。
「もう1回ヤらない?」
「だからぁ、私これから試合なの、それに1回家に・・・」
その言葉は隆司の口にさえぎられる。
甘く、それでも激しいキス。
「んっ・・・ぁ・・・」
ついもれてしまう声。
お互いが舌を絡ませあう。
「関係ないでしょ、そんなの。」
「あんたにはね。」
ばこん・・・鈍い音
あまり物の無い隆司の部屋にはその音が響いた。
「じゃ、また。」
そう言って絵梨は隆司の家を出た。
柳田絵梨、16才の高2。
テニス部で部長と生徒会の書記なんかもやっている。
成績優秀、こんなにいろいろやっているので憧れの先輩・・
・
という事のは言うまでも無い。
芦野隆司とはここ数ヶ月の付き合い。
金髪で耳にはピアス、目は薄い茶色・・・
母親がイギリス人のハーフ。
そのせいか反抗的な面が多く、先生には良くは思われていない。
しかしながら、さすがと言って良いものか。
英語はいつも1位、他の教科も引けをとらない。
先生は良くは思っていないものの、この成績。
何もいえない状態だ。
付き合いができたのは5月の学園祭以来...ここ2ヶ月ほどだ。
付き合いといっても、もちろん健全なものではない。
セフレ。
世に言うセックスフレンド。
ただお互いが求め合った時にだけする。
ただそれだけだ。
その学園祭の日、絵梨はフラれたのだった。
「ちょっと!!絵梨!?」
「え?あぁ、佳穂。」
「6-4ってどういうことよ!!4セットもとられちゃったじゃない。」
久留宮佳穂は絵梨にタオルを投げつける。
「ありがと。」
ありがとじゃないっ!!
そう言ってスポーツドリクも投げつける。
冷えたボトルが気持ち良い。
「なんでもない。」
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